文芸社文庫NEO作家4名座談会
小説を書きはじめたキッカケ、
小説を書く
トコトン語る!
「コツ」
を
前回のあらまし
NEO作家4名が日本各地、果ては遠くアメリカからも来日し東京に集まるという情報をX上でキャッチした文芸社販売員。そんな作家たちの完全プライベートな会合に乗じるカタチで展開した前回の企画「文芸社文庫NEO作家4名さま 紀伊國屋書店新宿本店へご招待 5,000円分好きな本を買う!(こちら)」では、4氏それぞれの「一読者」としての読書体験を語っていただきました。本を読み、何を感じ、それを自身の創作にどのように還元しているかまで話が広がった前回につづき、後編となる今回は、各氏の作品の制作に携わった担当編集から、「書き方」にまつわるストレートな質問をぶつけてみました!
参加作家ご紹介
坂井 のどか
Sakai Nodoka
富山県出身、宇都宮在住。さそり座。大学では中国文学を専攻。バックパッカーで中国全土を数か月間かけて放浪し、10キロ痩せて帰国。現在はIT系の仕事に従事。居合道某流派二段の経験あり。第6回文芸社文庫NEO小説大賞の最終選考ノミネート作を『もののふうさぎ!』として2024年に出版。
位ノ花 薫
Inohana Kaoru
栃木県出身。美術系の専門学校を卒業。第75回栃木県芸術祭文芸賞受賞(創作部門)。第5回文芸社文庫NEO小説大賞の最終選考ノミネート作を『幽霊とペリドット』として2023年に出版。
月森 乙
Tsukimori Oto
千葉県市川市出身。日本大学文理学部中国文学科卒。商社勤務を経てオランダ、アイスランド、ハワイ、ドイツ等に移り住む。アメリカ合衆国オハイオ州在住。第6回文芸社文庫NEO小説大賞で大賞を受賞し、2023年『弁当男子の白石くん』を出版。今回の座談会に同席する3氏と会うべく一時帰国。
※以降、作家のプライバシーに配慮し見切れたカットを使用しています。ご了承ください。
4人の共通点は「文芸社文庫NEO小説大賞」に応募したこと、それをきっかけに作家デビューしたこと、ですよね。そもそもですが、皆さんが本の世界を好きになったきっかけや、小説を書こうと思ったきっかけはどんなところにありましたか?
風祭 ── 自分はすごいミステリーが好きで、江戸川乱歩の子ども向けの本や、松原秀行さんなどを読んでいました。だからミステリーをまず書いてみたんですが、いざ自分で書いてみると、難しすぎてなかなか進まなくて。だけど身近なことが題材な青春小説なら書きやすいかなと思って、まずは挑戦してみました。手はじめに……という感じですね。いずれミステリーにチャレンジしてみたいという気持ちはまだあります。
手の届きそうなジャンルから堅実に創作活動の一歩目を踏み出した風祭さん。
月森 ── 私の場合、物心ついたときから「本」というものに興味がありました。9歳のころに一本ごく短い小説を最後まで書いて、そのときに「私は作家になろう!」と決めたんです。すごくたくさん本を読んでいたので、特定の誰かに憧れてというのはないんですが、高千穂遙先生の『ダーティペア』や『クラッシャージョウ』はアニメになる前から読んでいて大好きでした。最初読んだときに「私、こういうのを書きたい!」と思ったんです。80年代から90年代というと、ほかのみんなはコバルト文庫の氷室冴子さんを読んでいた時代。でも私は高千穂遙さんだったです。いまでもこのシリーズの続編が出ているのを知って、ものすごくうれしかったです。それ以前は、いわゆる童話のようなものを書いていましたね。
「本の海」にダイブするかのようにたくさんの作品を読み漁り、ごく自然な流れで9歳にして小説家を志すことを決めた月森さん。
位ノ花 ── 私は子どものころから絵を描いているほうが多くて、実は本はあまり読んでいませんでした。でも、お話を考えるのは好きで、イラスト付きの物語を書いて楽しんだりしていました。それで大人になって、絵の表現がうまくいかなかったときに気づいたんです。絵本って絵で表現できないことを文章で表現しているなって。それで試しに文章だけで書いてみることにしたんです。意外と最初からけっこう長いものが書けたんですけど、終わらせ方がわからず、最後まで完結させられないというのがつづいて……。悩ましくもありましたが、文章って本当に自由だなと感じてもいました。本は本格的に小説を書きはじめてから、勉強を兼ねてたくさん読むようになって、今では読書も大好きになりました。
文章のみによる創作初体験時に、その広大無辺な広がりと奥行きに気づいたという位ノ花さん。
坂井 ── 子ども向けの『世界名作全集』が家にあって、仮病を使って学校に行かずに読み耽っていたのを覚えています。熱が出たふりをするための悪知恵には、労を惜しみませんでした。なお、学校の授業には、まったく頭を使っていませんでした笑。
「小説家になりたい」っていうのは淡い憧れでありましたけど、非現実的だしコスパの悪い夢なので、最初はふつうに就職して働いていたんです。でも、好きだった辻村深月さんが『ドラえもん のび太の月面探査記』を書いたのを知って、作家になったら「ドラえもん」が書けるんだ! と思ったのが実際に小説を書きはじめるきっかけでした。
ちょうどそのころ、勤めていた会社を辞める辞めないのゴタゴタがあったりして、今度こそ自分のために人生の時間を使いたいと思っていたころでもありました。それからです。本腰を入れて、真面目にちゃんと書くようになりました。
幼き日の秘め事のような読書体験を語ってくれた坂井さん。その経験は間違いなく現在の素地をつくっているはず。
皆さんの創作前夜の読書体験、“四者四様”でおもしろいですね! 先ほど位ノ花さんも仰っていましたが、「なかなか最後まで書けない」というお話、これ実は小説を書きたいと思っている初心者の多くの方が抱えるお悩みごとでもあるんです。打開するのに何かコツはありますか? ヒントとか……
風祭 ── 自分も最初はまったく最後まで書けなかったんですけど、高校で部活に入って短編を書くようになったのをきっかけに、最後まで書けるようになりました。短い話でも一本書きあげると急にコツが掴めるかもしれませんね。ちょっとずつでいいから、完結させる作業を繰り返すといいのかなと。
月森 ── 短編つながりでいうと、私はどんな長編小説もはじめは短編小説として書きます。それをつなげていって長編にするんです。登場人物の好きにさせるので、書き直すたびに違う方向に走っていくんですよね、みんなが(笑)。でも、私は関与せずに、好きなようにしてもらいます。長いのも短いのもわりと勝手に登場人物たちが動いていって、勝手に最後まで駆け抜けてしまいます。
キャラ立ちのいい登場人物たちが、あたかも自動書記のように物語を紡ぎ出すという月森さん。
小説の「終わらせ方」でいうと、プロットっていうのもひとつのヒントになりそうですよね。皆さんはプロットは用意しますか?
坂井 ── プロットはおおまかに、ワンシーンごとに1行ずつでつくっています。そうして骨組みをつくったあとに肉づけして、つまらなかったら微調整してなんとかする、という感じですかね。『もののふうさぎ!』に関しては3年間くらいプロットが固まらなくて悩んでたんですけど、ある日唐突に会社の帰り際に突然組み上がったんです! それからは早くて、私の長編としては最短の6週間で初期バージョンまで書き上げました。
位ノ花 ── 私の場合は、頭のなかでふわっと最初から最後まで組み上げて……というやり方です。細かい部分は、ちょっとひらめいたときに、このシーンはここに入れようって、都度メモを残しておく感じで進めています。
風祭 ── 自分は、なんとなく書きたい人物や設定が決まったら、思いつくがままに1回ストーリーだけざっと書いてみて、あとからこうしたほうがいいんじゃないかとか思う点を書き足して、最終的にそれがプロットになります。自分だけ用のプロットだったら、主人公の一人称で書いてみたりもしますね。でも、編集さんに見せる段階では、ちゃんと三人称の「説明書き」みたいなプロットをつくり直したりしてます。
月森 ── 私ははじめはプロットを用意しません。でも、書き上げた小説のプレゼンをするようなときに、あとからつくることはありますね。私の小説は表面的なストーリーにほかの挿話がからんでいくパターンなので、だいたい3層構造くらいになっているのですが、それをどうプロットに落としていくか、ピックアップの仕方でまったく違う話に見えちゃう。自分で何を書いているかを気づいていないんです。私は恋愛だと思って書いてるのに、プロットを見せた友だちにミステリーだって言われたことも(笑)。
それぞれの創作アプローチの違い、また思わず同感してしまうポイントに頷きあうNEO作家たち。
キャラクター造形についてはどうですか? あらかじめどんな人たちが出てくるかを決めてから書いていますか?
月森 ── 私の場合、書きはじめたときには自分でも小説の全体像をわかっていないんです。なので登場人物も書いているうちに、いつのまにか性格が決まっていくという感じ。たとえば設定がバレンタインデーだったりすれば、登場人物同士が「幼馴染み」の話にしたら鉄板でしょとか、女の子が自分を主人公に投影して読むとしたら、2歳くらい年下の男の子に慕われる関係にしたらうれしいかな……とか、そういうふうに。
位ノ花 ── 『弁当男子の白石くん』の白石くんも実は女子が好きなタイプですよね。
風祭 ── そう。古都ちゃんとの身長差が……。
月森 ── あれは最初、小学館さんの「日本おいしい小説大賞」に出そうと思って書きはじめた作品なんです。最初は会社の女の先輩に後輩の男の子がお弁当をつくるという設定にしていたんですけど、書いてみたら、これは高校生のほうがいいかな? と思うようになって。で、20代や30代の女性が読むとしたら、ぐるぐる眼鏡の背が高くて、主人公と身長差があって……などと設定していくうちにできあがりました。だから、私のキャラクター設定でひとつ言えることは「読む人が好きそうな人物」を考えて決めていることでしょうか。なので、私小説などでよく見られる「自分の投影」みたいなものは、まったく入れていないつもりです。無意識には入っているかもしれませんけど。
位ノ花 ── 私の場合も、キャラクターは書きはじめてからなんとなくできあがっていきます。『幽霊とペリドット』のユズの場合は、そのとき私自身がすごく犬が飼いたくて、だからか犬っぽい男の子になりました(笑)。桃は少し大人っぽい子です。第一稿では桃はなんか自分でも意地悪かなって思って、最初から最後まで書き換えたりもしましたね。そんな感じでキャラクターは段々整っていく感じです。
月森 ── 毒のある桃ちゃんも読みたかったな。表紙かわいいですよね、ふたりとも。うん、お洋服も可愛いし。
坂井 ── どストライク、だよね。
月森 ── 桃ちゃんはいくつぐらいの設定ですか?
位ノ花 ── 大学生です。
風祭 ── 私と同い年ですよね(笑)。
坂井 ── 風祭さんの『チューニング!』は、出てくるみんなとお友だちになりたい!
風祭 ── 自分の場合、自分自身を投影できるところがないとなかなかストーリーが書けないので、主人公は実体験や自分の感情を入れながらつくっていきますね。まわりのキャラはその主人公に合わせてプロットの段階で構築して。静かな主人公だったら、ちょっと明るい子を出して、で、またちょっと明るい子出たら静かな子みたいな感じで。
月森 ── でもほんとになんか自分がそのクラスに入った感じがするよね。中学生ってこんな感じだった! って思った。
坂井 ── 私、男の人を書くことに苦手意識あるんです。ただ、すごく失礼なことですが、男性って何歳だろうが中身は小学生男子だよねという思いがあって、出てくる男の子みんなもう小学生か! って自分で突っ込みながら書いてました。
月森 ── でもそれ正しいかも。 ほんと、旦那も息子も同じ。国が違ってもいっしょ(註:月森さんの夫はアメリカ人)。ほんとに12歳から変わってない。だから、子どもはお父さん好きなの! すごく!
坂井 ── 自分を投影するのは恥ずかしいので、意識的に避けました! 前に5人組の女の子の小説を書いたとき、私的にはその5人のキャラクターを全部バラバラに書いたつもりだったんですが、当時の彼氏に「全員お前じゃないか!」と 突っ込まれてしまったので。それ以来自分の投影はとことん避けるようになりました。
月森 ── でも全部自分っていうのも、それはそれでおもしろそうですね! 作品タイトルは『のどか5(ファイブ)』!
坂井 ── 今回の主人公「うさぎ」は、「武道をやる子はこんな子になってほしい」という理想像を詰め込んだ感じです。最初はもうちょっと不真面目だったんですけどね。どんどん真面目になっていきました。完成した『もののふうさぎ!』の冒頭は、「大根」に過去の自分を投影して、それを乗り越えるために斬っていますが、初期バージョンでは、恨みのある担任教師を斬ってましたから(笑)。それはないよなと思って直しましたね。あとは、知っているいろんな人をちょっとずつ参考にして、切り貼りしてつくっています。 明確にモデルがいる登場人物はふたりしかいません。
自分を投影したり、しなかったり。いずれにしてもご自身との距離感を、個々のやり方で保っているようです。
では、舞台についてはどうですか? 知っている場所を書いていますか?
位ノ花 ── 『幽霊とペリドット』の舞台の秋田は子どものころ、毎年行っていたおばあちゃんの家があった場所です。キラキラの当時の夏を思い出して文字にしていって、とても楽しかったです。でもそういうパターンはたまたまで、いつもは「ここではないどこか」を舞台に書いています。
月森 ── すごく風景描写がよかったですね。風を感じた。スーパーマーケットとかもよかった。
坂井 ── 名前が出てこなくても、絶対もうあそこだ! っていうのがわかりました。小説の描写とぴったりーって。
位ノ花 ── 検索したんですか!?
坂井 ── もう、読みながら。学校とかもストリートビューで通学路を見て。私の小説で今回描いた北千住は、もともと住んでいた私の好きな場所ですし、浅草とか、千葉県の飯岡とか全部実在の風景を思い浮かべています。
月森 ── 私は場所を書くのが一番苦手。なんとなく頭に浮かんだところを書いてるだけなんですよねぇ。
“リアル”と交差する作中の舞台設定を見つけるのも読書の楽しみ方のひとつ。書き手目線でもそういえそうです。
小説を書いていくなかで、タイトルはいつ決まりますか?
風祭 ── 『チューニング!』に関しては、もうタイトルが最初に決まっていて、それから書きはじめたんです。でも実は、作品の軸である「音楽」についての知識は何もなかったんです。たまたま近所のショッピングモールみたいなところでギターの臨時販売会があって、そこでおじさんがチューニングしているのを見て、「チューニング」にまつわる小説を書こう! って突然閃いて。
月森 ── それすっご! 絶対経験者だと思った!
坂井 ── ほんと! ホルンをバンドに入れるなんて、なんか玄人っぽい!
風祭 ── 直感で管楽器が入るバンドがいいなと思って。で、管楽器が入っている曲を聞いたときに、これはなんの楽器なんだろうなと思って検索したら、「ホーン」って出てきたんです。本当はトランペットとかトロンボーンの総称らしいんですけど、私はそれを「ホルン」だと思っちゃって(笑)。本当に何にも知らなかったから。でも、作中では不思議とだんだん人物の人柄が寄っていったから、結局ホルンがそのまま作品や登場人物にぴったりの楽器になったのかなと思っています。
一同 ── すごーい!!
月森 ── 私はだいたいラブストーリーを書くことが多くて、タイトルに主人公の名前「なんとかくん、なんとかちゃん」っていうのは入れるんです。あとは何を書くかとの組み合わせで決まっていきます。でもタイトルが決まったのに、まったく違う話になっちゃうときもありますね。
位ノ花 ── 私は書いているうちに決まるものもあれば、最後まで決まらないものもあります。決まらなかったときは紙を出して、小説の内容を書いていって、そこから連想していって、いい言葉をつなげてつくることもあります。今回は「幽霊」と「ペリドット(註:8月の誕生石)」が出てきたから、それをつなげた(笑)。「ペリドット」っていう言葉の響きが好きです。
取材当日の指にも鮮やかなオリーブグリーンのペリドット……とは異なる石が、その手元で光ります。
世に出てる自分以外の小説のなかで、好きなタイトルはありますか?
月森 ── そりゃもういろいろ。最近では『お梅は呪いたい』です。どうしようか迷ってたんだけど、坂井さんがSNSで呟いたから私も即ポチッて買いました。そしたら作者の藤崎翔先生から「いいね」のハートをもらえて、やったー! って思った(笑)。
坂井 ── あの作品はタイトルもいいし、内容もすごくおもしろかった!
月森 ── けっこうライトな作風なんですが、ほっそーい伏線も全部回収されていますよね。ここまでしなくてもよくない?? っていうぐらい。もう、伏線の残りはひとつもないぐらいきちんと回収されていて、完璧。あとお梅がかわいい。
風祭 ── 自分が好きなタイトルは、文芸社文庫NEOの『月曜日が、死んだ。』です。
位ノ花 ── 私は『星の王子さま』。
一同 ── おおー!
月森 ── 坂井さんは? 本いっぱい読んでるからすごいの出てきそう。
坂井 ── むしろ出てこねえ……
月森 ── 白蔵盈太さんの本のタイトルは全部おもしろそう! 文芸社の『義経じゃないほうの源平合戦』とか。
坂井 ── 『討ち入りたくない内蔵助』もいいですよねー。
月森 ── 考えると無限に出てくるかも(笑)。あとは青柳碧人先生の「昔ばなしシリーズ」(『むかしむかしあるところに、死体がありました。』など)。
坂井 ── あ、あれもおもしろいっす。途中まで読みました!
月森 ── なんで途中まで(笑)?
坂井 ── どこかに置き忘れたんです。置き忘れたまま、置き忘れたことも忘れていました。ぐすん……でもおもしろいです!
一同 ── 笑
自身の作品から離れたとたんトークも軽やかになり、熱狂的な“一読者”となる4人。
では次は、この4人同士で、お互いに訊いてみたいことはありますか? ふだんはSNS上でやりとりはあるけど、こうして一堂に会すのは初めてですよね?
月森 ── あ、じゃあもう端的に! 位ノ花さんは宝石に詳しいんですか?
位ノ花 ── あ、はい。石、好きです!
月森 ── やっぱりそうなんだー。お仕事でやってるとかではないんですか?
位ノ花 ── いえ、そんなことはぜんぜんなくて。たまたまの「石好き」です。月森さんの作品はすごくテンポがいいですよね。ついどんどん先を読んでしまいました。
月森 ── ありがとうございます。でも、実は一冊分の10倍くらいは書いて推敲しているので、とても時間がかかってるんです。
坂井 ── あ、池波正太郎大先生も言ってます! 「鼻歌交じりみたいに書いてるようなものほど、実はものすごく神経注いで書いてるものだ」って。
月森 ── ほんとそう! ちょっとでも「違う」と思うと、その修正の影響が全体におよぶこともあるので、最初からやり直します。部分的な修正だけでなく、ひっくり返して全部書き直すのも4、5回はやります。
それぞれに切磋琢磨する4氏。だからこそ通ずるものもあるのでしょう。色紙の上でも仲よく並んでいただきました!
皆さんそれぞれに、やはり相当な心血を注いでいるわけですよね。
では最後に、今後どんな小説を書いていきたいか教えてください。
位ノ花 ── 少し不思議な世界観や、不穏だけどコミカル、みたいなお話が好きなので、そういった物語をたくさん書きたいです。自然の描写も大切にしたいです。読んでリアルに自然を感じられるような、美しい文章を目指したいです。
風祭 ── 今後も地元の青森を舞台にした作品をたくさん書いていきたいです。大学4年間を地元で過ごし、いろいろな人と出会うなかで、どんなジャンル、業界の人であっても、地元を大事にする大人はとてもカッコいいなと思いました。だから自分も青森を大切にして、「地域密着作家」と呼んでらえるような作家さんになりたいです。
月森 ── 苦しいとき、辛いときに、はっと思い出してもらえるような小説を書きたいです。将来は「月森乙の小説だから読みたい」と思ってもらえるような唯一無二の作家になりたいです。
坂井 ── 「一番書きたい」のは歴史小説です。中国なら唐の時代。日本なら江戸期から幕末にかけて。いっぽうで、書いていて「一番楽しい」のは青春小説なので、青春小説では歌い手や動画配信者など、夢をあきらめない人を書きたいです。もうひとつ「書けるようになりたい」でいうとミステリー。エンタメの基本がつまっているからです。どんなジャンルを書いても読者に受け入れられる作家になりたいです。
むすび
前編につづいておおいに語り合っていただいた文芸社文庫NEO作家4氏。「書き手」としてそれぞれの創作アプローチをお話しくださいましたが、その取り組み方はまさに各人各様。そしていい意味で“まだまだ模索中”という余白も残し、そのぶんだけ今後さらにおもしろい展開が期待できる座談会となりました。各氏のご活躍は、文芸社文庫NEOの公式X(@BungeishaNEO)にてお伝えしてまいります!
さて、この4作家がその道を歩みだすキッカケとなった「文芸社文庫NEO小説大賞」の募集も、いよいよ2月末の〆切が迫ってまいりました。偉大な読者はやがて偉大な書き手となるかもしれません。これまで読む側だったあなたも、今回は参加してみませんか? ご応募をお待ちしております!
人間六度氏や新馬場新氏など、、エンタメ小説市場に進出する新しい才能の登場を楽しめるコンテストになっています!
文芸社文庫NEO作家
風祭 千・坂井 のどか・位ノ花 薫・月森 乙
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